※【追記】最終更新:2025/11/13(公開情報をもとに整理・随時更新)
北海道・積丹町(しゃこたんちょう)で起きたヒグマ対応をめぐるトラブルが大きな話題になっています。
発端は、ヒグマの駆除現場でのやり取りをきっかけに地元の猟友会(ハンターの団体)が「もう現場には行かない」と出動を見合わせることを町に伝えたことでした。
この「出動拒否」は約1か月以上続き町の安全体制や行政の説明責任、さらには現場での権限のあり方にまで議論が波及しています。
この記事では、
- なぜ出動拒否が起きたのか
- 出来事の時系列
- いま問われている課題
- SNSの反応
をできるだけわかりやすくまとめます。
【追記】結論ボックス(現在の状況・3行要約)
- 11/11:副議長が猟友会へ直接謝罪(謝罪文手渡し)
- 11/12:町×猟友会が「ヒグマ捕獲対応マニュアル」に合意(第三者立入制限、規制線、役割分担・広報など)
- 11/13:猟友会が活動再開(出動見合わせは事実上の終息)
【修正】なぜ “猟友会が出動拒否” に?
猟友会が「もう現場には行かない」と決めた背景にはいくつかの大きなポイントがあります。
1. 安全が守られない現場では動けない
ヒグマの駆除は非常に危険な作業です。
暴れる個体、流れ弾のリスク、巻き込み事故などを防ぐため現場には
「ここより先に入らないでください」「今は下がってください」といった退避ライン・射線管理のルールがあります。
猟友会側は、この安全管理上の指示が現場で徹底されず口論に発展したことを強く問題視しました。
2. 指揮系統の乱れ
「危ないから下がってください」というプロ側の指示が通らないまま作業が進むと対応そのものが成立しません。
猟友会は「私たちの判断が現場で尊重されないなら、安全に仕事はできない」との立場です。
3. 構造的な不満の噴出
猟友会の活動は命がけにもかかわらず装備・保険・報酬といった面が十分ではないという不満はもともとありました。
今回の現場トラブルは、その不満が一気に表面化する“きっかけ”になったと受け止められています。
結果として猟友会は「このままでは危険すぎるので、出動はできない」という判断に至りました。
【修正】出動拒否に至った時系列
今回のトラブルは、現場での小さな行き違いから始まりましたがその後の対応や情報共有の遅れが重なり次第に大きな問題へと発展していきます。
9月27日
積丹町の住宅近く(町議の自宅周辺と報じられている場所)で体重およそ284kgという大型のヒグマが箱わなにかかりました。
駆除のために猟友会が現場に入り危険がないよう周囲に「下がってください」と退避を求めましたがこの場で町議と猟友会のあいだに口論が起きたと報じられています。
猟友会側は「安全指示に従ってもらえなかった」と主張し町議側は「そういう言い方はしていない」「そんな権限は自分にはない」と反論しています。
発言内容については食い違いが残っています。
9月28日以降
猟友会は町に対し「今後は要請があっても、もう現場には行かない」と伝えます。
これにより、積丹町ではヒグマが出てもすぐに駆除対応できる人員がいない状態になりました。
10月9日
町議会では、ヒグマ対策のための補正予算(わなの修繕費などを含む)が可決されます。
ただしこの時点で「猟友会がすでに出動拒否に入っている」という重大な状況が議会の一部や町民に十分共有されていなかったことが後から問題視されることになります。
10月中旬〜下旬
その後もヒグマは出没しており、住民からは「住宅地の近くに出たらどうするのか」「誰が守ってくれるのか」という不安の声が上がります。
町は「近隣地域の猟友会や警察にも応援をお願いする」としていますが、すぐに駆けつけられるとは限らず初動対応に“空白の時間”が生まれることが懸念されました。
10月24日以降
テレビの情報番組などでこの問題が全国的に報じられ「現場でのトラブルがきっかけで猟友会が出動をやめた」「その状態が1か月以上続いている」という構図が広く知られるようになります。
SNSでも「次にヒグマが出たとき、本当に大丈夫なのか?」という声が一気に広がりました。
10月28日〜29日
議会・町民への情報共有が遅れていたことに対して、「危機管理として問題だったのではないか」という指摘が議会側から出ます。
町側は「事実確認に時間がかかった」と説明していますが、議員や住民からは「安全に関わる話なのだからもっと早く伝えるべきだった」という声が上がっています。
10月31日
町が小学校付近での出没を受けて猟友会に出動要請を行ったものの猟友会は要請を正式に拒否。
この日は警察や役場職員が見回りに当たり出動拒否が実務上も確認される形となりました。
猟友会が“出動拒否”を決めた背景
猟友会側の大きな主張は、シンプルにいうと「このままでは危ない」というものです。
- ヒグマ駆除は、誤射や噛みつきなど致命的な事故のリスクがあるため現場での安全ルール(退避距離・射線の確保など)と指揮系統の一本化が絶対条件。
- それが現場で守られないまま口論になるようではもう現場に入れない。これは“拒否”というより“安全上のボイコット”に近いという見方もあります。
- さらに「危険な仕事に対して、装備・保険・報酬などの支えが十分ではない」という不満が以前からありそれも「この状態では続けられない」という判断を後押ししました。
つまり、猟友会の出動拒否は単なる感情的な対立ではなく安全ルールが守られない現場では活動できない。
そのうえ待遇面も追いついていないという二重の理由から来ていると考えられます。
町議会で今、何が問題になっているのか
いま町議会で問われているのは、「誰が悪いのか」ではなく「このまま次にヒグマが出たらどうするのか」という点です。
1. 情報共有の遅れ
猟友会がすでに出動しない状態だったにもかかわらず、その事実が議員や町民にすぐ伝えられていなかったことが問題視されています。
「住民の命に関わる話が、なぜ1か月も共有されなかったのか」という疑問が出ています。
2. 初動対応の空白
今後また住宅地の近くにヒグマが現れたとき誰が最初に現場に入るのかが明確でないことも大きな不安材料です。
「近隣の猟友会や警察にも応援を頼む」という説明はあるものの応援が駆けつけるまでの数分〜数十分をどう守るかはまだはっきりしていません。
3. 安全ルールと体制の見直し
現場での退避ライン、指揮系統、射線管理といったルールをきちんと決めて現場の判断を尊重すること。
同時に、危険な仕事を担う人たちに対して装備・保険・報酬などを含めた支援体制を整えること。
こうした「仕組みそのもの」を見直す必要があるという声が議会で上がっています。
最新の進展(11月13日更新)
状況は「関係修復」と「体制づくり」が進み猟友会は活動を再開しました。
要点は次のとおりです。
- 11月11日:副議長が直接謝罪
海田一時副議長が猟友会支部長に直接謝罪し謝罪文も手渡しました。
これにより、現場で生じたわだかまりの解消に向けた第一歩が踏み出されました。 - 11月12日:対応マニュアルに合意
町と猟友会が協議し「ヒグマ捕獲対応マニュアル」に合意。- 現場に第三者を入れない
- 町が規制線を張るなど安全確保の役割分担
- 広報・連絡の手順を明文化
といった運用ルールが共有され、初動の混乱を防ぐ枠組みが整いました。
- 11月13日:活動を再開
合意を受けて、地元の猟友会は町内での活動を再開。
長く続いた“出動見合わせ”は実質的に終息へ向かっています。
なお、現場でのコミュニケーションや情報共有の在り方は今後も改善が続く見込みです。
マニュアルが運用として定着するかが次のポイントになります。
SNSでの主な反応
今回の件は、テレビ報道後にSNS(X / 旧Twitterなど)でも大きく拡散されました。
主な声は次の3つに分かれます。
1. 猟友会を支持する声が圧倒的
「命がけで現場に入る人の指示を聞かないのはおかしい」
「安全を守れない状況なら、出ないという判断は正しい」
というように現場のプロである猟友会の立場を強く支持する投稿が多く見られました。
また「危険な役割のわりに報酬や装備が十分じゃないのはおかしい」「待遇を見直すべき」という意見も目立ちました。
つまり、猟友会を“自己都合でサボっている人たち”ではなく“過酷な条件でも地域を守っているのに報われていない人たち”として見る声が中心です。
2. 議員側・権力側への批判
現場でのやり取りをめぐり「権力で押さえつけるような言動があったのでは」と受け取った人たちから強い批判が集まりました。
「安全より自分のメンツを優先していないか」
「危機の現場で横から口を出して混乱させるのは論外」
という危機対応の姿勢そのものを問題視する声が多数あがりました。
「住民の命に関わる場面で、私情を持ち込んだのでは?」という指摘も見られます。
3. 行政と体制への不安・不信
「この状態で次にヒグマが出たら、誰が守るの?」
「住民が一番不安なのに、情報がちゃんと共有されていないのはおかしい」
といった声も多く話題は当事者同士の対立を超えて“町としての危機管理”に移っています。
特に「猟友会が出ないという重大な事実を、なぜすぐ町民に説明しなかったのか?」「情報を隠したのでは?」という不信感はSNSでかなり繰り返し指摘されました。
SNS上での議論をまとめると
- 現場の安全を守る人への敬意
- 行政の危機管理と説明責任
- 公的な立場にある人のふるまい
この3つに集中しています。
まとめ
積丹町で起きたヒグマ対応トラブルは単なる「口論があった」という話ではありません。
- 危険な現場での安全ルールが徹底されなかったこと
- 猟友会の「このままでは動けない」という判断
- その後も続いた“出動しない状態”
- 住民に十分共有されなかったリスク
- そして、今も残る「次にヒグマが出たら誰が対応するのか?」という不安
その後、議会での陳謝 → 直接謝罪 → 対応マニュアル合意 → 11/13 活動再開へと前進。
今は、合意内容を現場運用として根付かせる段階に入っています。
今後は、
- 現場責任者と連絡窓口の一本化
- 第三者立入の統制と規制線の運用
- 情報共有の迅速化(住民・議会へ)
- 猟友会の装備・保険・報酬など支援体制の見直し
を着実に回し初動の空白を作らない体制づくりが鍵になります。
引き続き公的な検証や追加の運用方針が示され次第、本記事も随時アップデートします。




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