高市内閣の支持率はなぜ各社で違いすぎる?15ポイント差の理由や世論調査の仕組みも

高市内閣の支持率をめぐり、報道各社が発表する数字に大きな差が出ています。

同じ内閣について調べているにもかかわらず、「なぜこんなに違うの?」と疑問に感じた人も多いのではないでしょうか。

特に注目されるのが、ほぼ同じ条件で行われた調査でも10ポイント以上の差が出ていることです。

目次

高市内閣の支持率はなぜ各社で違いすぎる?

高市内閣の支持率に大きな差が出る背景には、調査方法だけでなく、質問の仕方や回答の扱い、調査対象者など複数の要因があります。

2026年10月に発表された主な世論調査を見ると、高市内閣の支持率にはかなり幅があります。

調査機関支持率主な調査時期
FNN・産経新聞62.6%10月17日~18日
読売新聞・NNN57%10月16日~18日
NHK51%10月10日~12日
朝日新聞50%10月17日~18日
共同通信49.1%10月17日~18日
ANN47.1%10月17日~18日
毎日新聞45%10月下旬
時事通信42.4%10月9日~12日

さらにJNNが10月31日から11月1日に行った最新調査では、支持率は64.9%となりました。

時事通信の42.4%と比べれば、20ポイント以上の開きがあります。

ただし、この2つは調査日も調査方法も異なるため、数字だけを直接比較して「どちらかがおかしい」と判断することはできません。

より興味深いのは、FNNとANNの比較です。

両社とも2026年10月17日と18日に調査を行っており、どちらも電話によるRDD方式を採用しています。

それでもFNNは62.6%、ANNは47.1%でした。

その差は実に15.5ポイントです。

実は「不支持率」はほとんど同じだった

ここで支持率だけでなく、不支持率と「わからない」の割合まで見ると非常に興味深いことが分かります。

FNNANN
支持する62.6%47.1%
支持しない32.3%33.3%
わからない・答えない5.1%19.7%

支持率には15.5ポイントもの差がありますが、不支持率は32.3%と33.3%で、わずか1ポイントしか違いません。

大きく違うのは「わからない・答えない」という層です。

FNNでは5.1%なのに対し、ANNでは19.7%となっています。

その差は14.6ポイントで、支持率の差である15.5ポイントとかなり近い数字です。

つまり今回の2社の結果は、「高市内閣に反対する人の割合がまったく違う」というよりも、態度を決めきれていない人がどこに分類されたのかが数字に大きく影響している可能性があります。

世論調査の仕組みをわかりやすく例えると?

内閣支持率の数字が変わる仕組みは、身近なアンケートに置き換えると分かりやすくなります。

例えば100人に「この飲食店をおすすめしますか?」と質問したとします。

最初の回答が次のようになったとします。

おすすめする45人
おすすめしない30人
どちらとも言えない25人

このまま集計すれば、おすすめ率は45%です。

しかし「どちらとも言えない」と答えた25人に、「あえて選ぶなら、おすすめしますか?」ともう一度聞いたらどうでしょうか。

そのうち15人が「どちらかと言えばおすすめする」と答えれば、おすすめする人は60人になります。

同じ100人に聞いているのに、おすすめ率は45%から60%まで上がります。

回答した人の考えが突然変わったわけではありません。

「どちらとも言えない人を、どこまでどちらかに振り分けるか」が変わっただけです。

世論調査でも似たようなことが起こり得ます。

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理由①「重ね聞き」で支持率が変わることがある

報道各社の世論調査で大きな違いにつながる要素の一つが、「重ね聞き」や「さら問い」と呼ばれる質問方法です。

例えば最初に「内閣を支持しますか、支持しませんか」と聞かれても、政治に強い関心がない人はすぐに答えられないことがあります。

そこで「どちらかといえばどうですか?」などと改めて尋ねる方法があります。

「積極的に支持しているわけではないけれど、どちらかと言われれば支持する」という人が支持側に入れば、その分だけ支持率は上昇します。

逆に、判断を保留した回答をそのまま「わからない」として残す方式では、支持率も不支持率も低めになりやすくなります。

今回のFNNとANNで「わからない・答えない」の割合が大きく違うことは、この中間層の扱いが非常に重要であることを示しています。

理由②「支持」の意味が人によって違う

そもそも「内閣を支持する」という言葉を、すべての回答者が同じ意味で受け取っているとは限りません。

「高市総理を強く支持している」という人もいれば、「ほかの政権よりは良さそう」という程度の人も支持に含まれます。

最新のJNN調査では、高市内閣を支持する理由として最も多かったのは「ほかの内閣より良さそうだから」で39%でした。

ANNの10月調査でも、支持する理由として最も多かったのは「他の内閣よりよさそうだから」で36.4%でした。

つまり支持層の中には、強い支持だけでなく、比較した結果としての消極的な支持もかなり含まれていることになります。

こうした人は質問の仕方によって「支持」に入ったり、「わからない」に入ったりする可能性があります。

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理由③同じ電話調査でも条件は同じではない

「どちらも電話調査なら同じ結果になるのでは?」と思うかもしれませんが、実際には細かな条件が異なります。

多くの報道機関が採用しているのがRDD方式です。

RDDとは、コンピューターで電話番号を無作為に作り、固定電話や携帯電話に電話をかけて調査する方法です。

しかし同じRDD方式でも、固定電話と携帯電話の割合、年代や地域の補正方法、回答者の選び方などは完全には同じではありません。

FNNの10月調査は全国の18歳以上1014人から回答を得ており、国勢調査の結果をもとに年齢構成などを補正しています。

一方、ANNは全国18歳以上3141人を対象に電話をかけ、有効回答率は32.4%でした。

JNNの最新調査では2662人に電話をかけ、1024人から有効回答を得ています。

回答率は38.5%でした。

JNNでは自動音声ではなく、調査員が直接聞き取る方法を採用しています。

このように「電話調査」という大きなくくりは同じでも、中身まで完全に同じというわけではありません。

理由④電話に「出る人」と「出ない人」の違いもある

世論調査では無作為に電話をかけても、全員が回答するわけではありません。

知らない番号から電話がかかってきても、すぐに出る人もいれば、迷惑電話を警戒して一切出ない人もいます。

さらに電話には出ても、「世論調査です」と聞いた時点で断る人もいるでしょう。

仮に3000人に電話をかけても、実際に回答するのが1000人程度なら、残りの約2000人がどのような考えを持っているのかは分かりません。

これを「非回答」による偏りとして考える必要があります。

年齢や性別などは統計的に補正できますが、「知らない電話に出る人」と「出ない人」の政治意識まで完全に補正するのは簡単ではありません。

理由⑤調査した時期によっても支持率は動く

内閣支持率は、その時に起きているニュースの影響も受けます。

閣僚の問題、物価高対策、外交、災害対応、国会での発言など、大きなニュースがあれば数日でも評価が動く可能性があります。

そのため10月上旬の調査と10月下旬の調査を、そのまま同じ条件として比べることはできません。

今回のJNN64.9%と時事通信42.4%には20ポイント以上の開きがありますが、調査日が異なるため、この数字だけで両社の調査方法を比較するのは適切ではありません。

一方でFNNとANNは同じ10月17日と18日に調査しているため、15.5ポイントの差は調査日の違いだけでは説明できません。

理由⑥質問の順番でも回答が変わる可能性がある

世論調査では「何を聞くか」だけでなく、「どの順番で聞くか」も重要とされています。

例えば内閣支持率を尋ねる直前に、政府の不祥事について細かく質問された場合を考えてみましょう。

回答者はその問題を意識した状態で「内閣を支持しますか?」と聞かれることになります。

逆に評価の高い政策について質問された直後なら、その政策を思い浮かべながら答える可能性があります。

もちろん質問の順番だけで15ポイントもの差が出ると断定することはできません。

ただ、社会調査では質問文の表現や順番が回答に影響することがあるとされています。

「数字を操作している」ということなの?

支持率に大きな差があると、SNSでは「どの数字が本当なの?」「世論調査は信用できない」と疑問視する声も出ています。

中には、報道機関が意図的に支持率を高くしたり低くしたりしているのではないかと疑う投稿もみられます。

しかし、数字が違うという事実だけで「意図的な操作が行われている」と判断できる根拠にはなりません。

日本社会調査協会も、内閣支持率が各社で異なる理由として、標本誤差、調査方法、質問の順番、質問文、調査日、調査主体による回答者の違いなど複数の要因を挙げています。

むしろ世論調査は「完全な正解を一つ出すもの」ではなく、一定の方法で世論を推定する調査と考えた方が分かりやすいでしょう。

SNSでは「どれを信じればいい?」との反応も

各社で支持率が大きく異なることについて、SNSでも以前からさまざまな反応が出ています。

特に高市内閣では報道機関によって10ポイント以上の差が出ることがあり、数字が発表されるたびに比較する投稿もみられます。

反応として目立つのは、「同じ国民に聞いているのになぜこんなに違うのか」「支持率だけ見てもよく分からない」「調査方法も一緒に報じてほしい」といった疑問です。

また、「知らない番号から電話が来ても出ない」「電話調査に回答する層に偏りがあるのでは」と、RDD方式そのものに疑問を持つ声もあります。

一方で、「一つの会社の数字だけを見るのではなく、複数社を見るべき」「同じ会社の前月比を見る方が分かりやすい」といった冷静な見方も確認できます。

支持率が高い調査だけ、あるいは低い調査だけを取り上げて「これが本当の民意だ」とするのではなく、調査方法や推移まで見る必要がありそうです。

世論調査はどう見ればいい?

各社の支持率を見るときは、「どの会社の数字が正しいのか」を決めようとするより、同じ会社の数字がどう変化したのかを見る方法があります。

例えばFNNなら、9月61.6%から10月62.6%へ1ポイント上昇しています。

ANNでは9月58.3%から10月47.1%へ11.2ポイント低下しています。

絶対的な支持率の水準には各社独自の特徴がありますが、同じ調査機関が同じ方法で継続して調査していれば、前月からの変化を追いやすくなります。

ただしANNのように1か月で大きく動いた場合には、政治情勢の変化だけでなく、回答者の構成や「わからない」の増減なども合わせて確認することが重要です。

実際、ANNでは支持率が11.2ポイント下がった一方、「わからない・答えない」が前月から5.6ポイント増加しています。

支持していた人がすべて不支持に移ったわけではないことが分かります。

まとめ

高市内閣の支持率は、報道各社によって大きな差が出ています。

  • FNNは62.6%、ANNは47.1%で、同じ10月17~18日の調査でも15.5ポイント差がある
  • 一方で不支持率はFNN32.3%、ANN33.3%とほぼ同じ
  • 「わからない・答えない」がFNN5.1%、ANN19.7%と大きく異なる
  • 質問方法や重ね聞き、中間層の扱いで支持率が変わる可能性がある
  • 電話RDDでも回答者や補正方法、回答率など条件は完全には同じではない
  • 調査日や質問の順番も結果に影響する可能性がある
  • 数字の差だけで意図的な世論操作と判断することはできない
  • 各社を単純比較するだけでなく、同じ調査機関の推移を見ることも重要

「支持率62%」と「支持率47%」だけを見ると、まったく違う世論のように感じます。

しかし今回のFNNとANNでは、不支持率はほぼ同じで、大きく違っていたのは「わからない」と回答した層でした。

内閣支持率を見る際には数字だけでなく、その数字がどのような方法で作られたのかまで確認すると、各社で大きな差が出る理由が見えてきます。

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