ニチレイへのサイバー攻撃を巡り、ハッカー集団「ランサムハウス」が犯行声明を出しました。
一体どのような集団で、なぜニチレイが狙われたのでしょうか。
国籍や活動内容、今回の被害状況とあわせて整理します。
ランサムハウスの正体は?企業を脅迫するサイバー犯罪集団
ランサムハウスの正体は、企業のデータを盗んだりシステムを暗号化したりして、金銭を要求する国際的なサイバー犯罪集団です。
英語では「RansomHouse」と表記され、セキュリティ企業からは「Water Balinsugu」という名称でも追跡されています。
確認されている主な特徴はこちらです。
- 活動開始は2021年後半ごろ
- 企業や組織のネットワークへ不正侵入する
- 機密情報や顧客データを盗み出す
- システム内のファイルを暗号化する
- 身代金を支払わなければ情報を公開すると脅す
- ダークウェブ上に企業名や盗んだデータを掲載する
当初はデータを暗号化せず、盗んだ情報の公開をちらつかせて金銭を要求する手口が中心でした。
しかし、現在はデータの窃取だけでなく、システムの暗号化も組み合わせた「二重恐喝」を行うようになったと分析されています。
自分たちを企業のセキュリティ上の欠陥を指摘する仲介者のように見せることもあります。
ただし、許可なくネットワークへ侵入し、盗んだ情報を材料に金銭を要求している以上、その実態は企業を狙う恐喝集団といえるでしょう。
ランサムハウスの国籍はどこ?ロシア系との情報も
ランサムハウスのメンバーの国籍や所在地は、はっきりとは分かっていません。
一部では「ロシア系ハッカー集団」と紹介されていますが、ロシア人だけで構成されていると確認されたわけではありません。
ロシア語圏のサイバー犯罪フォーラムで活動していた形跡などから、ロシア語を使用する運営者が関わっている可能性が指摘されています。
一方で、被害企業のネットワークへ侵入する役割を担うイラン系のアクセス業者との関係も報告されています。
そのため、特定の国のメンバーだけが集まった組織というより、複数の国や地域の犯罪者が分業するネットワーク型の集団である可能性があります。
現時点では、次のように捉えるのが近そうです。
- メンバーの正確な国籍は不明
- ロシア語圏との関係が指摘されている
- イラン系の侵入業者とのつながりも報告されている
- ロシア政府やイラン政府の指示で動いたとは確認されていない
「ロシア系」と断定するよりも、ロシア語圏を含む国際的なサイバー犯罪ネットワークと考えた方が自然でしょう。
ランサムハウスの活動内容や攻撃手口
ランサムハウスは、企業へ侵入してデータを盗むだけの単純なハッカー集団ではありません。
攻撃ツールの開発、企業への侵入、データの窃取、システムの暗号化、被害企業との交渉などを分担しているとみられています。
企業の機密データを盗み出す
ランサムハウスは企業のネットワークへ侵入すると、顧客情報や取引先情報、社内資料などを探します。
価値があると判断したデータを外部へ持ち出し、「身代金を支払わなければ公開する」と被害企業へ迫ります。
個人情報が含まれていれば、企業の信用問題にも直結します。
業務を復旧できたとしても、情報を公開される不安が残るため、被害企業にとっては非常に重い圧力となります。
システムを暗号化して業務を止める
近年のランサムハウスは、データの窃取に加えてシステムの暗号化も行っています。
業務に必要なファイルや仮想サーバーが使用できなくなれば、商品の受発注や配送、顧客対応などが止まる可能性があります。
ランサムハウスはWindowsだけでなく、LinuxやVMware ESXiなどの仮想化環境を狙う攻撃ツールも使用すると報告されています。
ダークウェブで企業名を公開する
身代金の交渉に応じない企業については、ダークウェブ上の暴露サイトへ社名を掲載します。
盗んだとするデータの一部を「証拠」として公開し、本当に情報を保有していると被害企業へ見せつけるのです。
企業側には、業務停止だけでなく「顧客情報まで公開されるかもしれない」という強い不安がのしかかります。
ランサムハウスによるニチレイへの犯行声明とは
2026年7月13日、ニチレイは不正アクセスによるシステム障害が発生したと公表しました。
その後の調査で、ニチレイのサーバーがサイバー攻撃を受けたことが確認されています。
被害の拡大を防ぐため、ニチレイはグループ内で使用しているシステムを遮断しました。
その影響により、次の業務に支障が出ています。
- ニチレイロジグループ各社の冷蔵倉庫における入出庫業務
- ニチレイフーズの冷凍食品出荷業務
被害を受けたサーバーの一部には個人情報も保管されており、ニチレイは個人情報保護委員会へ漏洩の可能性がある事案として報告しています。
その後、ランサムハウスがダークウェブ上の暴露サイトにニチレイの企業情報を掲載し、犯行声明を出しました。
暴露サイトには2026年7月13日にデータを暗号化したという趣旨の記載があり、データを保有している証拠と称するファイルも掲載されたと報じられています。
ただし、ニチレイは攻撃者の名称や具体的な侵入経路を公表していません。
ランサムハウスが声明を出したことと、同集団による攻撃が企業側の調査で正式に確定したことは分けて考える必要があります。
ニチレイがランサムハウスに狙われた理由
ニチレイが狙われた正確な理由は、ランサムハウス側から明らかにされていません。
ただし、ニチレイの事業規模や今回の被害状況から、攻撃対象として選ばれた背景はいくつか考えられます。
大手企業で身代金を支払う能力があると判断された
ランサムウェア集団は、攻撃に成功した場合に大きな金銭を得られる企業を狙う傾向があります。
ニチレイは冷凍食品の製造だけでなく、冷蔵倉庫や低温物流も手掛ける大手企業です。
事業規模が大きく、システム障害による損失も膨らみやすいため、攻撃者から「身代金交渉に応じる可能性がある」と判断されたことが考えられます。
ランサムハウスは業種や地域を限定せず、金銭的な成果が期待できる企業を広く標的にすると分析されています。
物流を止めることで強い圧力をかけられる
ニチレイは多くの企業の商品保管や配送を担っています。
冷蔵倉庫の入出庫や冷凍食品の出荷が止まれば、影響はニチレイだけでは収まりません。
外食店や小売店への配送にも支障が生じ、欠品やメニュー制限につながる可能性があります。
実際に今回の障害では、ニチレイのシステムを遮断したことで冷蔵倉庫や冷凍食品の出荷業務に影響が出ました。
業務停止による影響が大きい企業ほど、攻撃者は身代金交渉を有利に進められると考えます。
社会への影響まで利用して企業を追い込もうとした可能性も否定できません。
顧客や取引先に関するデータを保有している
大手食品・物流企業のシステムには、顧客情報や取引先情報、商品の受発注記録など、さまざまなデータが保存されています。
ランサムハウスにとっては、こうした情報そのものが脅迫の材料になります。
今回、被害を受けたサーバーの一部に個人情報が保管されていたこともニチレイから公表されています。
実際に外部へ持ち出されたのか、どこまで閲覧されたのかについては調査が続いており、今後の発表が待たれます。
日本企業を狙った攻撃経験があった可能性
ランサムハウスは、2025年に発生したアスクルへのサイバー攻撃でも犯行声明を出しています。
アスクルも商品の受発注や物流を支える大手企業で、システム停止が取引先や利用者へ広く影響しました。
ランサムハウスが日本企業のシステム環境や、物流停止による影響の大きさに注目していた可能性も考えられます。
ただし、アスクルへの攻撃と今回のニチレイへの攻撃が、同じ人物によって実行されたかどうかまでは分かっていません。
ニチレイのシステムや業務は現在どうなっている?
ニチレイは外部のセキュリティ専門会社の支援を受け、被害状況の調査と復旧作業を進めています。
2026年7月17日からは、冷蔵倉庫の入出庫業務と冷凍食品の出荷業務を順次再開しました。
ただし、受発注を一部制限した状態での部分的な稼働となっており、原因や影響範囲については調査が続いています。
現時点で明らかになっていない主な点はこちらです。
- ランサムハウスが実際に侵入したのか
- どのような方法で侵入されたのか
- どの範囲のデータが閲覧されたのか
- 個人情報が外部へ流出したのか
- 身代金をいくら要求されたのか
- ニチレイが攻撃者と交渉しているのか
ランサムハウス側が証拠を持っていると主張していても、その内容がすべて事実とは限りません。
被害の全容については、ニチレイや調査機関からの正式な発表を待つ必要があります。
ランサムハウスの犯行声明にSNSの反応は
ランサムハウスによる犯行声明を受け、SNSではニチレイの商品や物流への影響を心配する声が上がっています。
主に見られた反応はこちらです。
- 冷凍食品や外食店への影響が心配
- 食品の物流を止める行為は許せない
- ニチレイが物流でも大きな役割を担っていたことを初めて知った
- アスクルに続いて日本企業が狙われたことが怖い
- 企業だけでサイバー攻撃を完全に防ぐのは難しそう
ニチレイは身近な冷凍食品メーカーとして知られていますが、実際には多くの企業を支える低温物流事業も展開しています。
今回の障害を通じて、一つの企業のシステム停止が外食や小売などへ連鎖する怖さを感じた人も少なくなかったようです。
まとめ
今回は、ランサムハウスの正体や国籍、活動内容、ニチレイへの犯行声明について整理しました。
- ランサムハウスは企業を狙う国際的なサイバー犯罪集団
- メンバーの正確な国籍や所在地は判明していない
- ロシア語圏との関係が指摘されているがロシア政府系とは確認されていない
- データ窃取とシステム暗号化を組み合わせて身代金を要求する
- ニチレイへのサイバー攻撃についてダークウェブ上で犯行声明を出した
- ニチレイが狙われた理由は大手企業としての資金力や物流への影響力が関係した可能性がある
- ニチレイはランサムハウスの関与や情報流出の範囲を正式には発表していない
ニチレイのシステム障害は、冷凍食品の出荷だけでなく、多くの企業をつなぐ物流にも影響しました。
だからこそ攻撃者にとっては、業務を止めた際の圧力が大きい標的に映ったのかもしれません。
一方、ランサムハウスの犯行声明だけでは、本当に同集団が攻撃を実行したと断定することはできません。
今後、ニチレイから情報流出の有無や攻撃の詳しい経緯が公表されるのか、引き続き注目されます。


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