2026年9月26日、愛知・名古屋アジア大会の卓球男子シングルス準々決勝で、張本智和選手がイランのノシャド・アラミヤン選手に敗れました。
世界トップクラスの張本選手がランキングで大きく下回る相手に敗れたことで、「なぜ負けた?」「相手のサーブは違反では?」といった声も出ています。
一方、試合は最終ゲームまでもつれる大接戦で、アラミヤン選手の実力の高さも目立つ内容でした。
張本智和はなぜ敗退した?
張本智和選手の敗退については、試合序盤から終盤までの流れを見る必要がありそうです。
男子シングルス準々決勝で張本選手は、ノシャド・アラミヤン選手にゲームカウント3-4で敗れました。
各ゲームのスコアは以下の通りです。
- 第1ゲーム:9-11
- 第2ゲーム:7-11
- 第3ゲーム:11-3
- 第4ゲーム:6-11
- 第5ゲーム:16-14
- 第6ゲーム:11-6
- 第7ゲーム:9-11
張本選手は第1、第2ゲームを連続で落とし、第3ゲームを奪ったものの、第4ゲームも落として1-3と追い込まれました。
しかし、ここから張本選手が粘ります。
第5ゲームは4-9という厳しい状況から追い上げ、デュースの末に16-14で勝利。
さらに第6ゲームも11-6で奪い、ゲームカウント3-3まで戻しました。
勝負は最終第7ゲームへ。
張本選手はここでも9-9まで追いつきましたが、最後の2ポイントをアラミヤン選手に奪われて9-11で敗れています。
序盤に1-3とリードを許したことに加え、アラミヤン選手のサーブへの対応、独特なバックハンド、そして最終ゲームの勝負どころを取り切れなかったことが重なった試合だったと考えられます。
アラミヤンが強かった理由は?
世界ランキングだけを見ると意外な敗戦に感じますが、アラミヤン選手は決して簡単に勝てる相手ではありません。
ノシャド・アラミヤン選手は1991年生まれのイラン代表で、2018年のアジア大会では男子シングルス銅メダルを獲得しています。
特に特徴的なのが、世界でも珍しいほどバックハンドを多用するプレースタイルです。
通常であればフォアハンドを使うようなボールでもバックハンドで処理し、ミドル付近まで回り込むようにしてバックハンドを振る場面も見られます。
この独特なリズムに加えて大きな武器となっているのが、回転量の多いYGサーブです。
YGサーブは回転を見極めるのが難しく、アラミヤン選手はこれまで世界のトップ選手からもサービスエースを奪ってきました。
今回も張本選手がレシーブで苦しむ場面があり、サーブからアラミヤン選手が主導権を握る展開も見られました。
さらに最終ゲームの9-9という緊張感のある場面でも崩れず、最後の2ポイントを取り切っています。
ランキング差だけで「格下」と考えるより、サーブとバックハンドという明確な武器を持つ難敵だったと見るほうが、実際の試合内容には近そうです。
アラミヤンのサーブがグレーと言われる理由は?
今回の試合後、特に注目されたのがアラミヤン選手のサーブでした。
卓球のサービスでは、ボールを手のひらからほぼ垂直に投げ上げ、少なくとも16cm以上上昇させることなどが定められています。
また、サーバーの体や腕などによって、レシーバーからボールが見えない状態にすることも認められていません。
アラミヤン選手のサーブについては、トスが低く見える場面や、体によってインパクト付近が見えにくくなっているように見える場面があり、「グレーではないか」と指摘されています。
実際、今回の試合でも審判からサーブのフォルトを取られる場面がありました。
ただし、アラミヤン選手のサーブすべてが違反だったと確認されたわけではありません。
映像を見た印象だけで「違反サーブだった」と断定することはできず、正確にはルール違反かどうかの判定が難しいサーブが含まれていたことで注目された形です。
TTRが導入されていなかったことも話題に
今回の大会では、サーブなどの判定を映像で確認する「TTR(Table Tennis Review)」が導入されていませんでした。
TTRでは、サーブのトスが規定の高さに達しているか、ボールが体などで隠れていないかといった部分も映像で確認できます。
しかし今回はTTRがないため、基本的に審判がその場で判断するしかありません。
張本選手も試合後、TTRがない状況について触れ、アラミヤン選手に「うまく利用された」という趣旨の発言をしています。
一方で、審判が実際にフォルトを取った場面については評価し、肉眼で判断する審判にも限界があるとの認識を示していました。
張本智和はサーブだけを敗因にはしていない
サーブについて注目が集まりましたが、張本選手本人は敗戦をサーブだけの責任にはしていません。
アラミヤン選手のサーブについて以前から問題になることがあったとしながらも、過去には自身が勝っていることにも触れています。
そのうえで今回の敗戦について、自身にも弱い部分があり、負けたことを受け入れる必要があるという趣旨のコメントを残しました。
張本選手は「卓球の厚み」「実力の厚み」が足りなかったとも振り返っています。
実際、今回の試合は1-3から3-3まで追いつき、最終ゲームも9-9まで競った末の敗戦でした。
サーブへの対応が難しかったことは一つの要因だったとみられますが、それだけで勝敗が決まった試合とは言い切れません。
アラミヤン選手が独特なプレーを最後まで貫き、重要な場面でポイントを取り切ったことも大きかったといえそうです。
まとめ
今回は、張本智和選手がアラミヤン選手に敗れた理由や、サーブがグレーと言われている理由についてまとめました。
張本選手はゲームカウント1-3から3-3まで追いついたものの、最終第7ゲームを9-11で落とし、男子シングルス準々決勝で敗退しました。
アラミヤン選手は回転の分かりにくいYGサーブと独特なバックハンドを大きな武器としており、ランキングだけでは測れない難しさを持つ選手です。
サーブについてはトスの高さやボールの見え方を巡って疑問の声があり、実際にフォルト判定もありましたが、すべてのサーブを違反だったと断定できる状況ではありません。
1-3から追いつき、最後も9-9まで競った内容を考えると、張本選手にとって非常に惜しい敗戦だった一方、アラミヤン選手の強さも感じさせる一戦だったといえるでしょう。


コメント