エホバの証人の信者女性が、白内障手術を断られたとして滋賀医科大学を提訴したニュースが注目されています。
白内障手術と輸血拒否。
一見すると結びつきにくい話ですが、医療行為である以上、病院側が万が一のリスクをどう考えるかという問題もあります。
女性側の主張だけでなく、病院側の判断に理解を示す声も多く出ています。
エホバの証人女性はなぜ白内障手術を断られた?
女性は、輸血を受け入れない意思を示したことで、手術を断られたとされています。
輸血拒否の意思を文書で示した
報道によると、女性は白内障の手術が必要と診断され、紹介先として滋賀医科大学附属病院を受診しました。
その際、エホバの証人の信者であることから、宗教上の理由で輸血を受け入れない意思を文書で示したとされています。
女性側は、医師から「エホバの証人の患者は受け入れられない」と言われ、診療を断られたと主張しています。
この部分だけを見ると、宗教を理由に手術を断られたようにも見えます。
ただ、病院側にとって輸血拒否は、緊急時の医療判断に関わる大きな問題でもあります。
滋賀医大は相対的無輸血の方針
滋賀医科大学附属病院は、輸血拒否に対して「相対的無輸血」の方針を公表しています。
これは、できる限り輸血を避けるものの、救命や生命維持に輸血が必要だと医師が判断した場合には輸血を行うという考え方です。
つまり、病院側としては「どんな場合でも輸血しない」と約束することは難しい立場になります。
女性側の輸血拒否の意思と、病院側の救命方針がぶつかった形ですね。
滋賀医大を提訴した理由は何?
女性側は、正当な理由なく手術を断られたとして、滋賀医科大学に損害賠償を求めています。
精神的苦痛で330万円を請求
報道では、女性は精神的苦痛を受けたとして、330万円の損害賠償を求めているとされています。
女性はその後、別の医院で両目の白内障手術を受けたとも報じられています。
その手術では、実際に輸血は必要なかったとされています。
女性側からすれば、
- 別の医院では手術できた
- 結果的に輸血は必要なかった
- 宗教を理由に断られたのではないか
という思いがあるのかもしれません。
結果ではなく事前判断も争点に
一方で、裁判では「結果的に輸血が必要なかった」だけではなく、手術前の時点で病院側がどう判断したのかも問われることになりそうです。
白内障手術そのものは、一般的に大きな出血を伴う手術ではないとされています。
ただ、手術である以上、急変や合併症の可能性を完全にゼロにはできません。
ここが、女性側の主張と病院側の判断が分かれる部分です。
別の医院で手術できたのに滋賀医大はなぜ断った?
別の医院で手術できたことだけで、滋賀医大の判断が不当だったとは言い切れません。
医院と大学病院では立場が違う
女性はその後、別の医院で白内障手術を受けたとされています。
そのため、「別の医院でできたなら、滋賀医大もできたのでは」と感じた人もいたかもしれません。
ただ、ここは医院と大学病院の立場の違いもあります。
白内障手術を行う一般的な眼科医院では、輸血を前提にした手術体制ではないことが多く、対応できない急変が起きれば大きな病院へつなぐ形になります。
一方で、大学病院はその受け皿になる側です。
急変した患者を受け入れ、必要があれば輸血を含めた救命処置を行う立場でもあります。
輸血不要だったことと事前判断は別
結果的に輸血が不要だったことと、手術前に医療リスクをどう見るかは別の話です。
病院側としては、万が一のときに輸血できない患者を受け入れるのかという判断が重くなります。
この点が、病院側の判断に理解を示す声が多い理由にもつながっています。
病院側の判断に理解を示す声も
このニュースへの反応では、女性側の主張に疑問を持つ声も目立っています。
「万が一」をどう考えるか
特に多いのは、病院側のリスク判断に理解を示す意見です。
- 輸血に応じないなら、手術を断られても仕方ない
- 白内障手術でも、万が一のことはある
- 後から責任を問われる可能性を考えたのではないか
- 医療現場に宗教上の制約を持ち込むのは難しい
手術前に同意書を取るのも、リスクを完全には消せないからです。
どれだけ安全性が高いとされる手術でも、予期しないことは起こり得ます。
そのときに必要な処置が制限されるなら、病院側が慎重になるのは不思議ではありません。
女性側の受け止めも分かれる
一方で、女性側からすれば、白内障手術で輸血が必要になる可能性は低く、別の医院でも手術できたという思いがあるはずです。
宗教上の理由で一律に断られたと感じたのであれば、納得しにくい部分もあったと思います。
この件は、どちらか一方だけを見ても判断しにくい問題ですね。
裁判の争点はどこ?
裁判では、手術を断った理由がどこにあったのかが大きな争点になりそうです。
宗教を理由に一律で断ったのか
もし病院側が、個別の医学的リスクを見ずに「エホバの証人だから」という理由だけで断ったと判断されれば、女性側に有利に働く可能性があります。
宗教上の理由で輸血を拒否する意思は、本人の自己決定に関わるものです。
断り方や説明の仕方が不十分だった場合、病院側の対応が問われる可能性はあります。
医療安全上の判断だったのか
一方で、病院側が「緊急時に輸血できないことで、安全な医療提供が難しくなる」と判断したのであれば、話は変わります。
医療機関には、患者の信念を尊重する一方で、安全に医療を行う責任もあります。
特に大学病院は、急変時の対応まで含めて責任を負う立場です。
相対的無輸血の方針と、女性側の絶対的な輸血拒否が合わなかったのであれば、病院側にも強い事情があると見られそうです。
まとめ
エホバの証人女性の白内障手術をめぐる提訴について整理しました。
- 女性は輸血拒否の意思を示した後、滋賀医大で手術を断られたと主張
- 女性側は精神的苦痛を受けたとして、330万円の損害賠償を求めて提訴
- 滋賀医大は、救命時には輸血を行う相対的無輸血の方針を公表
- 別の医院で手術できたことだけで、大学病院側の判断が不当だったとは言い切れない
- 裁判では、宗教を理由にした一律拒否だったのか、医療安全上の判断だったのかが争点になりそう
今回の件は、信仰や自己決定だけでなく、医療側がどこまで緊急時の責任を負えるのかという問題も含んでいます。
白内障手術という身近な手術だからこそ、多くの人が引っかかりを感じているのだと思います。


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