警視庁高尾署の留置場で、勾留されていたトルコ国籍の男性が倒れ、搬送先の病院で死亡しました。
男性は診察を受けた後も痛みを訴え、体温は34度台を示していたことが明らかになっています。
死亡した男性は誰なのか、診察後も再び搬送されなかった経緯をまとめます。
高尾署で死亡したトルコ人男性は誰?
高尾署で死亡したトルコ人男性は、映画にも出演していたムラット・チチェックさんです。
ムラット・チチェックさんのプロフィールは以下の通りです。
- 名前:ムラット・チチェック
- 英語表記:Murat Çiçek
- 生年:1977年
- 年齢:48歳
- 出身地:トルコ
- 職業:解体業、俳優
- 来日:2020年
- 出演映画:『みんな、おしゃべり!』
チチェックさんはトルコに住んでいた頃、演劇・映像会社「BKM」で脚本を学んでいました。
習作として制作した作品が選ばれ、舞台への出演も経験しています。
2020年に来日してからは解体業に従事しながら、映画『みんな、おしゃべり!』で映画初出演を果たしました。
劇場用の脚本も執筆しており、俳優だけでなく脚本家としての活動も始めようとしていた人物です。
映画『みんな、おしゃべり!』でルファト役
ムラット・チチェックさんは、映画『みんな、おしゃべり!』にルファト役で出演していました。
同作は、日本手話や日本語、クルド語が飛び交う中で、ろう者の日本人家族とクルド人家族の交流を描いた作品です。
第38回東京国際映画祭の「アジアの未来」部門に出品され、チチェックさんも登壇予定者として名前が掲載されていました。
映画の公式アカウントもチチェックさんの死去を発表し、訃報を伝えています。
テレビで広く知られた有名俳優ではありませんでしたが、働きながら映画に出演し、新たな一歩を踏み出したところでした。
ムラット・チチェックが逮捕された経緯
ムラット・チチェックさんは、6月25日に東京都八王子市内の高速道路で物損事故を起こしました。
その後、出入国管理法違反の旅券不携帯の疑いで現行犯逮捕され、高尾署の留置場で勾留されていました。
今回報じられている逮捕容疑は旅券不携帯です。
一部のコメントに見られる「不法入国した人物」という情報は、報道では確認されていません。
物損事故や旅券不携帯について捜査を受けることと、勾留中に必要な医療を受けることは分けて考える必要があります。
体調不良から死亡までの経緯
ムラット・チチェックさんは、死亡する数日前から体調不良を訴えていました。
これまでに明らかになっている経緯は以下の通りです。
- 6月25日:物損事故後、旅券不携帯の疑いで逮捕
- 6月29日夜:体調不良を訴える
- 6月30日:腹痛が出たため、市販の胃腸薬を服用
- 7月1日正午ごろ:再び腹痛を訴え、嘔吐も確認
- 7月1日午後1時すぎ:医師が高尾署で診察
- その後:診療所で超音波検査などを受ける
- 診察後:入院の必要はないと判断され、留置場へ戻る
- 7月2日午前6時ごろ:トイレで倒れているところを発見
- 搬送後:病院で死亡を確認
最初に腹痛が確認された6月30日には、市販の胃腸薬を飲ませる対応が取られました。
しかし、翌7月1日には腹痛に加えて嘔吐もあり、チチェックさんは「病院に行きたい」と大きな声で訴えていたといいます。
単なる軽い腹痛ではなく、本人が医療機関の受診を強く求める状態になっていました。
診察後も「痛い」と訴えていた
医師は高尾署でチチェックさんを診察した後、自身の診療所で超音波検査などを行いました。
検査では急性虫垂炎の疑いと便秘が確認されたものの、入院の必要はないと判断されています。
医師は署側に対し、
- 薬を服用する
- 水分を多く取る
- 発熱などがあれば直ちに連絡する
と伝えたとされています。
ところが、留置場に戻った後もチチェックさんの苦痛は収まりませんでした。
英語で「痛い」と訴え、夜間には「あー」「うー」と断続的にうめくような声を上げていました。
診察を受けたことで状態が落ち着いたわけではなく、強い訴えはその後も続いていたことになります。
体温は34度台まで下がっていた
署員は医師の指示に従い、水や白湯を渡していました。
体温も非接触型など複数の体温計で繰り返し測定しています。
その結果、体温計は35度台や34度台を示していました。
非接触型の体温計は測定環境によって数値に差が出ることもあります。
それでも、複数回にわたって低い数値が出ていたのであれば、別の方法で測り直したのか、医師に報告したのかが気になるところです。
痛みや嘔吐、うめき声も続く中、34度台という数値がどのように受け止められたのかは明らかになっていません。
なぜ再び病院へ搬送されなかった?
ムラット・チチェックさんが再び病院へ搬送されなかった詳しい理由は、現時点では明らかになっていません。
署側には、医師から「入院の必要はない」と伝えられていました。
この判断をもとに、薬や水分を与えながら留置場で経過を見ていたと考えられます。
しかし、診察後には次のような状態が続いていました。
- 「痛い」という訴え
- 34度台から35度台の体温
- 断続的なうめき声
- 夜間のトイレへの繰り返しの出入り
- 診察前に確認された嘔吐
診察を受けた時点の判断と、その後に続いた状態は同じではありません。
再び医師へ連絡したのか、再診や救急搬送について検討したのかは、今後の調査で確認される重要な部分になりそうです。
嘔吐物や便の状態は明らかになっていない
報道では、チチェックさんに嘔吐があり、夜間にはトイレへの出入りを繰り返していたとされています。
一方で、次のような詳しい状況は伝えられていません。
- 何回吐いたのか
- 嘔吐物に血などが混じっていたのか
- トイレで便が出ていたのか
- 下痢や便秘が続いていたのか
- 便の色や状態を確認していたのか
- トイレへの出入りが排便目的だったのか
留置場には行動記録や監視カメラの映像が残っている可能性があります。
本人の訴えだけでなく、嘔吐物や便の状態を署員がどこまで確認し、記録していたのかも気になるところです。
司法解剖で十二指腸に穴が確認された
司法解剖の結果、ムラット・チチェックさんは潰瘍の影響で十二指腸に穴が開いていたことが分かりました。
さらに、腹膜炎を起こしていた疑いもあると報じられています。
死亡する前には腹痛や嘔吐があり、診察後も痛みやうめき声が続いていました。
診察を受けた時点でどこまで状態が進んでいたのか、その後いつ急激に悪化したのかは分かっていません。
警視庁は、署側の対応に問題がなかったか詳しく調べています。
「医師の判断なら仕方ない」との声も
ニュースのコメント欄では、署側の対応を擁護する声も多く見られます。
「警察官は医療の専門家ではない」
「医師が入院不要と判断したなら従うしかない」
「診察まで受けさせているため、警察を責めるのは違う」
医師の判断に従って対応した署員に、病気を見抜くことまで求めるのは難しいという意見です。
一方で、次のような疑問も上がっています。
「診察後も状態が悪かったのではないか」
「34度台で再び連絡しなかったのか」
「医師の診察内容は十分だったのか」
「言葉の違いで症状が正確に伝わらなかったのではないか」
警察官が病名を判断できるかではなく、診察後に続いた変化を医師へ伝え、再び診てもらう必要はなかったのかが問われています。
トルコ人や外国人だからでは片づけられない
ムラット・チチェックさんは外国人であり、旅券不携帯の疑いで逮捕されていました。
しかし、勾留されている間は自分の意思だけで病院へ行ったり、救急車を呼んだりすることはできません。
医療機関へつなぐかどうかは、留置場を管理する側の判断に委ねられています。
だからこそ、本人が何を訴え、どのような変化が起きていたのかを丁寧に確認する必要があります。
トルコ人だから、外国人だから、逮捕された人物だからという理由で「仕方がない」と片づけられる問題ではありません。
外国籍の人物が警察の管理下で死亡した事案だけに、今後は遺族や関係者から、より詳しい説明を求める声が強まる可能性もあります。
まとめ
高尾署で死亡したトルコ人男性についてまとめました。
- 死亡したのはムラット・チチェックさん
- 1977年生まれのトルコ出身で、解体業をしながら俳優として活動
- 映画『みんな、おしゃべり!』でルファト役を演じた
- 6月29日夜から体調不良を訴えていた
- 7月1日には腹痛と嘔吐があり、「病院に行きたい」と強く訴えた
- 診察後も「痛い」と訴え、体温は34度台や35度台だった
- 夜間にはトイレを往復しながら、うめき声を上げていた
- 翌朝にトイレで倒れ、搬送先の病院で死亡した
- 十二指腸に穴が開き、腹膜炎を起こしていた疑いがある
一度診察を受けて入院不要と判断されたことは、署側にとって大きな判断材料だったはずです。
それでも、その後に痛みや異常に低い体温、うめき声が続いていた事実は残ります。
「仕方がなかった」と結論づける前に、診察後の変化が医師へ伝えられたのか、なぜ再び搬送されなかったのかを明らかにしてほしいところです。


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