2026年9月に行われている愛知・名古屋アジア大会で、台湾の野球ファンと会場スタッフの間に起きたやり取りが注目を集めています。
きっかけとなったのは、観客が掲げていた「Taiwan」と書かれた応援タオルでした。
なぜ国名にも見える「Taiwan」の文字が問題となったのでしょうか。
アジア大会の台湾タオル問題とは?
問題が起きたのは、2026年9月25日に行われた愛知・名古屋アジア大会の野球・台湾対中国戦です。
台湾が中国に9対1で勝利した試合でしたが、試合後半、観客席で「Taiwan」と書かれたタオルを掲げて応援していた台湾人ファンに対し、会場スタッフが掲示をやめるよう求めました。
現場では、日本語を話せる女性がスタッフとの間に入り、「台湾人にとってTaiwanは政治的主張ではない」という趣旨の説明をしています。
しかしスタッフ側は、大会の規定に照らすと「Taiwan」という表示は政治的主張に当たるとの説明を繰り返したとされています。
さらに騒ぎが大きくなれば安全な大会運営に影響するとして、場合によっては退場を求める可能性も伝えられました。
最終的に観客が退場させられることはありませんでしたが、ただ野球を応援していたファンにとっては納得しにくい対応だったようです。
「Taiwan」と書かれたタオルを掲げただけで、なぜ政治的な表現と受け取られるのか。
この疑問が、今回の問題が大きく注目された理由の一つとなっています。
『Taiwan』で応援禁止になった理由は?
今回の対応には、アジア大会で定められている会場内の禁止事項が関係しています。
大会の公式規定では、政治的・思想的・宗教的な主義や主張を表示したり、それを連想させたりする旗やバナー、横断幕、衣類などを使用する行為が禁止されています。
また、「参加していない国の国旗を掲げること」も禁止行為の一つとして示されています。
台湾は今回のアジア大会に「Taiwan」という名称ではなく、国際スポーツ大会で使用されている「Chinese Taipei(チャイニーズ・タイペイ)」として参加しています。
実際にアジア・オリンピック評議会でも「Chinese Taipei Olympic Committee」という名称が使用されています。
そのため現場スタッフは、「Taiwan」と書かれたタオルについて、正式な参加名称とは異なる表示であり、政治的な主張に当たると判断したとみられます。
ただし、ここには大きなポイントがあります。
大会が公表している禁止事項には、「Taiwanという文字を掲げてはいけない」と明記されているわけではありません。
少なくとも公表されている規定からは、「Taiwan」の文字だけで一律に禁止されると読み取れる記載は確認できません。
今回のケースでは、現場スタッフが「政治的な主張に当たる」と判断して対応した形です。
なぜ台湾は「Chinese Taipei」で出場している?
今回の問題を理解するうえで欠かせないのが、台湾が国際大会で使用している「Chinese Taipei」という名称です。
台湾の選手たちは、オリンピックやアジア大会では「Chinese Taipei」の名称と専用の旗を使用して出場しています。
これは台湾と中国をめぐる国際的な事情を背景に、IOCなどの国際スポーツ界で長年使われてきた枠組みによるものです。
そのため普段は「台湾代表」と呼ばれる選手たちも、アジア大会の公式な大会表記では「チャイニーズ・タイペイ」となります。
一方、台湾のファンにとって「Taiwan」は自分たちを表すごく自然な言葉でもあります。
大会運営上の正式名称と、応援するファンが日常的に使う名称。この二つの間にあるズレが、今回の観客席で一気に表面化した形ともいえそうです。
台湾ファンから「Team Taiwan」のコール
スタッフとのやり取りを見ていた周囲の台湾ファンも反応しました。
「Taiwan」のタオルが問題になるのであれば、声で応援しようという流れになり、観客席から「Team Taiwan! Team Taiwan!」というコールが広がったと報じられています。
さらに一部のファンからは、会場内に掲げられていた中国国旗を指しながら、「こちらから見れば、それも政治的ではないのか」という趣旨の声も上がりました。
つまり「Team Taiwan」のコールは、最初から予定されていた政治的なデモというよりも、タオルを制止されたことへの反発からその場で広がったものだったとみられます。
試合そのものは台湾が中国に9対1で勝利しましたが、スタンドでは競技とは別の緊張感が生まれていました。
翌日には台湾国旗と旭日旗をめぐる問題も
台湾をめぐる騒動は、これだけでは終わりませんでした。
翌9月26日に行われたチャイニーズ・タイペイ対日本戦では、岡崎中央総合公園野球場の入口などに、中華民国の国旗と旭日旗を持ち込めないとする案内が掲示され、こちらも問題となりました。
大会組織委員会は9月28日、旭日旗について「持ち込み禁止の対象ではない」と説明。
掲示は現場の誤った認識によるものだったとして、公式に謝罪しています。
一方で、9月29日時点で大会公式サイトを確認した限りでは、9月25日の「Taiwan」タオルをめぐる対応そのものについて、同様の公式な謝罪や詳しい説明は確認できません。
そのため、「Taiwanという文字は本当に大会規定に違反するのか」という部分は、現在も分かりにくさが残っています。
まとめ
愛知・名古屋アジア大会で注目された台湾タオル問題は、野球の台湾対中国戦で「Taiwan」と書かれた応援タオルを掲げたファンが、スタッフから制止されたことから始まりました。
大会には政治的・思想的な主張を示す物品などを禁止する規定がありますが、公表されている禁止事項に「Taiwan」という文字そのものを禁止する記載は確認できません。
現場ではスタッフが政治的な主張に当たると説明し、納得できなかった台湾ファンから「Team Taiwan」のコールが広がりました。
台湾が大会では「Chinese Taipei」の名称で出場している事情も絡み、単なる応援タオルの問題では終わらない騒動となっています。
翌日には国旗や旭日旗をめぐる別の問題も発生しており、大会側が今後「Taiwan」表記についてどのような説明をするのかも注目されそうです。


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