【元救急隊員の本音】「そんなこと聞いてない…」医療機関との“食い違い”が生む救急隊の苦悩とは?

救急搬送は、情報のリレーで成り立っている

救急隊の仕事は、傷病者の元に駆けつけて処置を施し、ただ病院に運ぶだけではありません。

実は、現場で得た『限られた情報』をいかに正確に医療機関へ伝えるかが、その後の処置や診断に大きな影響を与える非常に重要な業務のひとつです。

たとえば――

  • いつから痛みがあるのか
  • 何をしているときに発症したのか
  • 基礎疾患や服薬の有無
  • アレルギー、既往歴、本人の希望

これらの情報をできる限り短時間でヒアリングし、それを病院の医師に『要約して正確に』伝えるのが、救急隊の役割です。

しかし、そこには現場を知らない人にはわかりづらい“落とし穴”があります。

目次

🩺医療機関での問診で「話が違う」と言われる現実

現場で傷病者本人や家族から聴取した内容をもとに医療機関へ連絡し、受け入れの可否を判断してもらいます。

それを信頼して搬送したにもかかわらず、医師の問診の段階で傷病者本人の話が変わることが、意外にも多いのです。

たとえば――

  • 救急隊には「胸が苦しい」と言っていたのに、病院では「お腹が痛いや頭痛がする」といったように多岐にわたる症状(不定愁訴)
  • 「既往歴なし」と聞いていたのに、実は心臓病で通院中だった
  • 救急隊には主訴に対して思い当たる節はないと言っていたのに、医師の問診には思い当たる節などしっかりと答える

このような情報の食い違いがあると、医師から「救急隊が間違った情報を伝えた」と見られかねず信用問題に直結します。

😔「ウソをついた」と思われる苦しさ

もちろん、傷病者に悪意があるわけではなく、混乱していたり緊張して話を正確に伝えられなかったり、家族の勘違いだったりするケースが大半です。

ですが、医師や看護師が“事前情報と違う”と困惑する姿を見ると、救急隊としては本当にやるせない気持ちになります。

中には、病院から「なんでこんなに情報が違うの?」と問われることもあります。

📡 現場でのヒアリングには限界がある

覚えておいてほしいのは、現場で得られる情報には限界があるということです。

  • 傷病者の意識がない
  • 同乗者や家族もパニック状態
  • 深夜や高齢者世帯で情報源がない
  • 明らかな虚偽申告(飲酒や薬物使用を隠すケースなど)

このような中でも、限られた時間で『的確に・正確に・迅速に』医療機関に連絡を取らなければならないのが救急隊です。

🧠だからこそ伝えたい、協力の大切さ

傷病者やご家族には、できるだけ正確な情報を伝えていただけると助かります。

  • あった事実を素直に話してください
  • 「わからない」と正直に言ってもらって構いません
  • 隠すことはしないでください

救急隊はあなたを助けるために来ています。

そして、正確な情報が命を救うことにもつながります。

📝まとめ:命をつなぐための“情報のリレー”を支えてほしい

救急搬送は、現場 → 救急隊 → 医療機関という“情報のリレー”で成り立っています。

その中で、救急隊が担う役割は重くミスが許されないプレッシャーがあります。

だからこそ、傷病者やご家族の協力が欠かせないのです。

「そんなこと聞かれていない」
「いや、ちゃんと伝えたはずなのに…」

そういった食い違いの背景には、現場の過酷さと複雑さがあります。

どうか、ほんの少しでいいので――

現場の救急隊の立場も、想像してみてもらえたら嬉しいです。

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