街中で人が倒れていたら、誰でも驚きます。
そして「助けなきゃ」と思い、とっさに119番を押す。
それは素晴らしい行動であり、勇気ある通報です。
しかしそのあと、何もせずに立ち去る人が少なくありません。
実は、こうした通報が救急現場に混乱をもたらし、結果として誰も救えないケースもあるのです。
今回は、現場で何度もこの状況に直面した元救急隊員として、『通報の在り方』について本音をお伝えします。
到着しても誰もいない現場──混乱する救急現場
「人が倒れている」と通報を受ければ、緊急性の高い事案として救急隊はすぐに現場に向かいます。
もちろん、冷静に出動するよう努めていますが、通報内容が深刻であればあるほど、心拍数も自然と上がります。
ところが、現場に到着しても倒れている人が見当たらない。
通報者に連絡しても電話に出ない。
場所の情報も曖昧で、結局は周囲を手探りで探すしかない――。
こうした事例は、決して珍しくありません。
そして、現場が見つからなければ、その出動は“空振り”になりかねません。
その間にも、本当に救急を必要としている人の対応が遅れる可能性があります。
通報だけして立ち去る…その“無責任さ”に感じる違和感
通報そのものは、命を救う第一歩であり、否定されるべきものではありません。
ですが、
- 意識の確認もせず
- 名前も名乗らず
- 電話にも出ず
- 「呼んだだけで帰る」
という対応が多いのも事実です。
そこに感じるのは、「助けたい」という気持ちよりも、“とりあえず通報した”という自己満足。
現場としては、偽善のように見えてしまうこともあります。
通報するなら、その後の最低限の対応をお願いしたい。
それが、救急隊員としての本音です。
現場にいられなくても、できることがある
もちろん、仕事中や危険な状況など、ずっとその場に居続けられない事情もあるでしょう。
それでも、ほんの少しの行動だけで現場は大きく助かります。
- 傷病者本人に「救急車を呼びました」と一言声をかける
- 周囲の人に「119番しました」と伝えて引き継ぐ
- 通報時に、傷病者の特徴を伝える
これだけで、現場の対応スピードと正確さは格段に変わります。
あなたの“あと一歩”が、命をつなぐのです。
救急車は有限です。資源を無駄にしないために
救急車は、無限に使えるものではありません。
1台が出動していれば、その間は他の緊急案件に対応できないことがあります。
「通報したけど誰もいない」というような出動が増えると、本当に必要な人への出動が遅れ、命に関わることもあるのです。
医療資源は有限です。
だからこそ、一人ひとりの意識がとても大切なのです。
まとめ:善意なら、あと一歩だけ踏み出してほしい
「救急車を呼ぶ」という行動が命を救うこともあります。
ですが、それだけでは十分とは言えません。
本当に人を助けたいのなら、「通報したその後」にも責任を持ってほしい。
- その場に残る
- 誰かに引き継ぐ
- 情報を伝える
たったこれだけの行動が、救急隊の負担を減らし真に救うべき命を守る力になるのです。
どうかそのことを、あなたの心に留めておいてください。
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